太陽光自家消費Q&A事典

太陽光自家消費は災害時にどう役立つ?停電時の活用法とBCP対策

Tags: 太陽光自家消費, 災害対策, 停電, BCP, レジリエンス

日本は自然災害が多く、台風、地震、豪雨などにより大規模な停電が発生するリスクに常に直面しています。このような状況において、電力を安定して確保することは、私たちの生活や社会活動を維持する上で極めて重要です。太陽光自家消費システムは、普段の電気代削減だけでなく、非常時の電源確保という側面でも注目を集めています。

この記事では、太陽光自家消費システムが災害時にどのように機能し、停電時にどのような活用が期待できるのか、また、企業の事業継続計画(BCP)対策にどのように貢献するのかを、その仕組みと併せて詳しく解説いたします。

太陽光自家消費システムが災害時に果たす役割

太陽光自家消費システムは、単に日々の電気代を削減する経済的メリットだけでなく、災害に強い社会を構築するための重要なインフラとしての役割も担います。特に、大規模な停電が発生した際には、以下の点でその価値を発揮します。

停電時に太陽光自家消費システムが機能する仕組み

太陽光自家消費システムが停電時に電力を供給するためには、特定の機能が必要となります。

自立運転機能とは

通常の太陽光発電システムは、電力会社の送配電網(系統)と接続されている「系統連系」状態にあります。停電時には、作業員の感電を防ぐため、安全確保の観点から自動的に発電を停止する仕組みになっています。

しかし、多くの太陽光発電システムには「自立運転機能」が搭載されています。この機能に切り替えることで、電力会社の系統からの電力供給が停止しても、太陽光発電システムが独立して発電し、特定のコンセントを通じて電力を供給できるようになります。これは、太陽光発電システムに搭載されているパワーコンディショナ(直流電力を交流電力に変換する機器)の機能の一つです。

蓄電池連携の重要性

太陽光発電は日中にしか発電できません。そのため、夜間や日照の少ない悪天候時には電力が供給されません。ここで重要となるのが蓄電池の存在です。

蓄電池を太陽光自家消費システムと連携させることで、日中に発電した余剰電力を蓄え、停電時であっても夜間や悪天候時にその電力を利用することが可能になります。これにより、より安定した電力供給が実現し、長時間の停電にも対応できるようになります。

EV(電気自動車)との連携(V2H)

近年では、EV(電気自動車)を「移動する蓄電池」として活用するV2H(Vehicle to Home)システムも注目されています。V2Hシステムを導入することで、EVに蓄えられた大容量の電力を家庭に供給することが可能となり、停電時の電力供給能力を飛躍的に向上させることができます。

災害時における太陽光自家消費の具体的なメリット

災害時における太陽光自家消費システムの導入は、以下のような具体的なメリットをもたらします。

災害時に自家消費システムを活用する上での注意点

太陽光自家消費システムを災害時に最大限活用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

まとめ:災害に強い社会の構築へ

太陽光自家消費システムは、電気代削減という経済的なメリットに加え、災害時の停電対策として非常に有効な手段です。自立運転機能や蓄電池との連携、さらにはV2Hシステムとの組み合わせにより、非常時における電力供給の安定性と持続可能性を高めることができます。

レジリエンスの向上、BCP対策の強化、そして環境負荷の低減と、多岐にわたる側面でその価値を発揮する太陽光自家消費システムは、私たちの生活を守り、持続可能な社会を築くための重要な要素と言えるでしょう。導入を検討される際には、経済性だけでなく、非常時の電力確保という視点からもその可能性を評価することをお勧めいたします。